語句注解
龍爪山由来の事
- 艮(うしとら)
- 方角を十二支にあてゝいうとき、丑と寅の中間の方角。すなわち北東の方角のこと。
- 権現(ごんげん)
- 仏、菩薩が日本の神に姿を変えて現れること。昔の神の尊号として用いられる。
- 尽未来際(じんみらいざい)
- 無限の未来のはてまでと言う意。誓願を立てる時に〈永遠〉の意味に用いられる。
- 問法(もんぽう)
- 正しくは聞法。仏の教えを聞くこと。
- 諸天善神(しょてんぜんじん)
- 毘沙門天(びしゃもんてん)や帝釈天(たいしゃくてん)、十二神将(じんしょう)のごとく、仏法守護の神々のこと。善神には十六善神、あるいは三十六善神がある。
- 天竜八部(てんりゅうはちぶ)
- 仏法護持の異類で、法華経その他の経に散見する。
- 天(てん)、竜(りゅう)、夜叉(やしゃ)、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅(あしゅら)、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、摩喉羅迦(まごらか)の八を云う。
- 金輪際(こんりんざい)
- 大地の底の意、大地の下に金輪(黄金の層)があり、そのきわまでもという意味。一般には、絶対に(… ない)の意を強調する表現に使用する。
- つち風
- つじ風、旋風、つむじ風のこと。
- 衡山寺(こうざんじ)
- 中国湖南省衡州にあり。南岳ともいう。
- 至善(しぜん)
- 最高善。至極の善。この上ない幸福。
- 加被力(かびりょく)
- 神仏の力を衆生に加え与えること。加護と同じ。
- 如来(にょらい)
- 真理より来った人のこと。即ち仏、釈迦をさす。
- 熊耳山(ゆうにざん)
- 中国河南省にあり、達磨大師を葬ったといわれる山。山影が二峰あって、熊の耳に似ているところから、その名がある
- 葱嶺(そうれい)
- 天山南路の西端。中国の国境にあり。古来中国より印度に通ずる陸路にして、通行最も困難なところ。今のパミール高原。
- 棺郭を抜けて
- 棺郭(かんかく)とは棺のこと。内箱を棺と云い、外箱を郭と云う。伝えて云う。普化(ふけ)禅師は、遷化の後、自ら棺をささげ持って門外に出で、鈴を振ってまた棺に入って逝すと。人々が棺を開けて見るに、すでに見えず、唯鈴の音が遠くから聞こえて来るのみであった。普化宗(虚無僧)の祖となる。
- 仙家(せんけ)
- 禅家(ぜんけ)(禅僧)などと同じ用法で、これは仙人のこと。
- 雲に乗り
- 久米仙人のこと。昔久米仙人は、常に仙術を使って空中を飛行しておったが、ある日のこと、1人の女性が川岸で洗濯をしているのを見て、その脛の白さに魅せられ、忽ち神通力を失い、地上に落下したといわれている。川柳に「白雲のたなびく間より久米どさり」と云うのがある。
- 枯れ木に花を咲かす
- 昔話の1つ。花作爺(はなさかじじい)のこと。花作爺が枯れ木に灰を撒いて、見事に花を咲かせた話。
- 壼中に世界を建立する
- 中国の古話。後漢(ごかん)の長房が市の役人をしていた時、店先に壼を掛けて商売をしていた薬売りの老人が、売り終わると壼の中へ入ったのを見て、長房も頼んで壼の中へ入れて貰った。するとその中には、立派な建物があり、また日月が輝き、大地山河の大自然がちゃんとあったと云うこと。
- 松江三百里の鱸(しょうこうさんびゃくりのろ)
- 昔中国魏の国に左慈という人が居た。またの名を元放という。たいそう仙術に長けていた。ある時曹操が、その術の非凡なのを聞いて、召して一室に閉じこめ、食を断つこと1年にしてこれを見るに、顔色は全く変わりが無かったという。またある日曹操が賓客を招いて云うには、「今日の食膳に松江(ズンコウ─現在の呉松江─)の鱸(はぜに似た魚)が欠けているのが、最も遺憾である」と云つた。左慈はこれを聞くや、仙術をもって、忽ち一尾の鱸を人々の前に取り出したと云う。
- 舜王いまだ民たる時云々
- 舜(しゅん)は中国古代の伝説上の帝王、たいへん徳が高く、後世聖人と称えられている。生母は早くなくなり、父は継母の子である象(しょう)を愛して、舜を殺そうとさえした。しかし舜は父や継母に孝行を尽くし、異母弟象には親切を忘れなかった。世にその徳を知られるようになり、ついに皇帝堯(ぎょう)に見出だされて、堯の後をついで皇帝となった。
- 「大象来って耕作を助け云々」は物語り原作者の思い違い。大象─動物─が来て農作業の手伝いをしたと云うことではなく、実際は異母弟象が、父や継母と一緒になって、舜の仕事の邪魔をした
- 商の陽王云々
- 中国の古代王朝夏(か)を滅ぼした商(しょう)の湯王(とうおう)は徳の高い天子てあった。然し湯王が即位してから7年の間は、国中に一滴も雨が降らなかった。そこで湯王は斎戒して、人民の為に天に向かって雨乞いをすると、天もその徳に感じたのであろうか、沛然と大雨が降り、数千里を潤したと云われている。
- 孟宗雪中に筍を得る
- 中国三国時代、呉(ご)の孟宗(もうそう)が、母の好むたけのこを求めて冬の竹林に入ったところ、それを得たと云うこと。ありえないこと、得難いもののたとえ。また、孝心の深いたとえ。そして孟宗は、そのまま孟宗竹として、竹の名にもなった。
- 曹蛾(そうが)
- 後漢時代の孝女。14才の時、父吁(う)が溺死したのを悲しみ自分も江に身を投げる。5日後父の死体を抱いて発見された。後日その孝心を称えて、曹蛾碑なるものが建てられた。
- 的然(てきぜん)
- はっきりとしたさま。明白なこと。
- 護法善神(ごほうぜんじん)
- 護法神ともいう。仏法を守護する神々。四天王・十二神将・十六善神・十二天・天竜八部衆・二十八部衆・十羅刹女(らせつにょ)などがあり、勇猛な姿で、忿怒相(ふんぬそう)を示すものが多い。
- 富士山焼け出る
- 宝永(ほうえい)4年(1707年)富士山南東斜面より噴火して宝永山が出現した。宝永山は比高約100メートル、海抜2693メートル。
- 四大(しだい)
- 仏教にて、物質界を構成する四つの元素をいう。すなわち地・水火・風のこと。
- 五蘊(ごうん)
- 仏教にて、諸存在を構成する物質的、精神的五つの要素。色・受想・行・識の総称。色は物質的存在、受は事物を感受する心の働き、想は事物を思い描く心の働き、行は心の意志的働き、識は識別・判断する心の働き。
- 色即是空(しきそくぜくう)
- 般若心経の言葉。この世にあるすべてのもの(色)は、因と縁によって存在しているだけで、固有の本質をもっていない(空)という、仏教の基本的な教義。空即是色。
- 諸法実相(しょほうじっそう)
- 仏教語。現象として存在するもの、或いは観念、言語の対象として存在するものの真実の姿。たんに実相ともいう。すべてのものの真の姿ということ。
浅畑の池縁起の事
- 震丹国(しんたんこく)
- 震旦と書く。秦帝国の土地の意味。中国のこと
- 鑑真(がんじん)
- 奈良時代に渡来した唐の僧。日本律宗の祖。中国揚州大明寺で律を講じていたが、日本の学問僧の要請に応じ、五回の渡航失敗と失明にもかかわらず、753年に来日。大仏殿前に戒壇を設けて、聖武天皇以下に授戒を行う。のち大和上(だいわじょう)の称号を贈られた。また唐招提寺のもとを築いた。
- 天竺(てんじく)
- 印度のこと。
- 無熱池(むねっち)
- 炎熱の苦しみのない池。ヒマラヤの北にあるとされる想像上の池。金銀など四宝を岸にしているといわれる。
- 芙蓉(ふよう)のまなじり
- 蓮の花のように美しい目もと。
- 丹菓の唇(たんか くちびる)
- 正しくは「丹花」。美人の唇を赤い花にたとえていう言葉
- 沐浴(もくよく)
- 髪や体を洗い清めること。神仏にお参りする前に行う。
- 浅間大菩薩(せんげんだいぼさつ)
- 浅間神社のこと。昔は神仏習合(しんぶつしゅうごう)の故に、神も仏名(菩薩)で呼ぶことが多い。
- 河伯(かっぱ)
- 普通は「河童」と書く。
- 神明仏陀(しんめいぶつだ)
- 一般に神仏という程の意味。本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)には、仏陀を神明の本地に、神明を仏陀の垂迹とする。
- 浮世のひまを明かす
- この世を辞去する。おさらばする。
- 前業(ぜんごう)
- この世における苦楽の原因となる前世でのおこない。先業・宿業のこと。
- 富士禅定(ふじぜんじょう)
- 富士山へ登って修行すること。一般的には富士登山のこと。
- 法器草(ほうきそう)
- 法器とは@仏法を受容し、信受しうる能力のある者をいう。
- A法要・法式にもちいる器具のこと。ここではAの意味。
- 払底(ふってい)
- 物がすっかり無くなること。また非常に少なくなること。
- 請待(しょうたい)
- 客として来てもらうこと。この場合は供養のために僧に来てもらうこと。[招待」
- 施餓鬼(せがき)
- 餓鬼の世界に落ちて飢餓に苦しむ亡者に、食物を供えて供養す法会。
- 潅頂(かんじょう)
- 古くインドで国王の即位、または立太子の際に、頭頂に水を注いだ儀式から転じたもの。仏教の供養の1つ。迷えるものを成仏させる為にとり行なう法要。
- 高尾・竜田(たかお たつた)
- 京都・奈良の共に紅葉の名所。
- 五障三従(ごしょうさんじゅう)
- 女性は仏道修行の上で、五つの障りがあって成仏することが難しいということ。また三従とは、女性は幼にして父に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従うということ。
- 血脈(けちみゃく)
- 教法が師から弟子へと、絶えることなく受け継がれていくこと。また、その師から弟子への相承を記した系図。
- 垂戒(すいかい)
- 教えを垂れること。垂示(すいじ)に同じ。
- 大乗法華(だいじょうほっけ)
- 仏教を「大乗」─大きい乗り物─と「小乗」─小さい乗り物─に分けた言葉。現代日本に行われている仏教は大乗仏教─自らの救いを後にして、他人の救いを先にする考えかた─であり、南方に行われているものは小乗仏教─自らの悟りを考える─である。法華経もこの大乗思想のもとに生まれた経典であるから、このように云った。
- 至極(しごく)
- 極地。行きついた真理。神髄。
- 草木国土悉くみな成仏
- 草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)という。草木や国土のように心を有しないものさえも、仏性を持っているので、ことごとく皆仏になるということ。
- 一乗の妙法(いちじょう みょうほう)
- 仏の真の教えは唯一であり、それによって総ての衆生が成仏できると説く教法。
- 魔界仏界同如一相(まかいぶつかいどうにょいっそう)
- 魔の世界がそのまま仏の世界であるということ。魔界即仏界(まかいそくぶっかい)。
- 平等無二別(びょうどうむにべつ)
- 「平等」とは身分・財産・性別・老幼などにかかわりなく、人間の間に価値の差異ないということ。「無二別」は二別なしということで、それを強調した語。
- ざえ(才)
- 知恵・才能ということ。
- 八才の竜女も頓悟
- 妙法蓮華経・提婆達多品(だいばだったぼん)第十二にあり。
- 八才になる竜王の娘が、悟りを開いて仏になるという話
- 教外別伝(きょうげべつでん)
- 禅宗で、悟りとは言葉や文字で示せるものではなく、直接心から心へ伝えられものだと云うこと。
- 不立文字(ふりゅうもんじ)
- 禅宗の基本的な立場を示した言葉。悟りは言葉によって現せるものではないから、言葉や文字にとらわれてはいけないと云うこと。
- 直指人心・見性成仏(じきしにんしん けんしょうじょうぶつ)
- ─直に人心を指し、(本)性を見(極め)て成仏する─と云うこと。禅宗の特色を簡潔に示した語、学問や教説によることなく、坐禅によって直ちに自分の本心を見極め、悟りを開いて仏になること。
- 垂示(すいじ)
- 高僧が教えを垂れること。垂戒ともいう。
- 示悟(じご)
- 教えを開示して、これを悟らせること。
- 三界唯一心(さんがいゆいいっしん)
- 三界とは心を持つものの存在する世界。即ち、欲界、色界、無色界のこと。この三界はすべて心に映る現象で、人間の心の中以外にはないということ。
- 心外無別法(しんげむべつほう)
- この世の諸現象はすべて心の生み出したもので、心を離れて他の存在はないと云うこと。三界唯一心と共に使われる。
- 心仏及衆生是三無差別(しんぶつぎゅうしゅじょうぜさんむさべつ)
- 迷える凡夫の心と、清浄円満の仏と、一切衆生との3つは、等しくて異なることがないと云う意味。
- 一弾指(いちだんし)
- 一度指を弾くこと。極めて短い一瞬の間ということ。
- 四果の声聞(しか しょうもん)
- 「四果」とは、小乗仏教に於いて修業によって得られる結果を分類したもの。@聖者の位に入った預流果(よるか)。A天界と人間界を往復する一来果(いちらいか)。B流転することのなくなる不還果(ふげんか)。C完全な悟りを開く無学果(むがくか)。
- 「声聞」とは、原始仏教では、仏の教えを聞く修業者という意味であったが、のちには自分の悟りを中心に考える、小乗仏教の修業者を云う。
- 五十二位(ごじゅうにい)
- 求道者(菩薩)の修行の段階を52に分けたもの。
- 即ち、十信・十住・十行・十回向・十地の50に、等覚(正しい悟りに等しい悟りを得た位)、妙覚(迷いを滅し尽くし、知恵がまどかに具わった位)の2つ、合わせて52を云う。
- 五逆の調達(ごぎゃく ちょうだつ)
- 五逆とは5つの反逆罪のこと。調達とは人名。またの名を提婆達多(だいばだった)という。提婆達多は釈尊の従弟でありながら、その名声を妬んで、釈尊にむかって、5つの反逆罪を犯した。
- 天王・記別(てんおう きべつ)
- まず「記別」とは、未来世について仏の予言。
- 仏が、その弟子たちが、未来世に仏になることを予言して、その時期・国土・仏名・寿命などをはっきり予言すること。「天王」とは、提婆達多が釈尊によって記別をうけ、未来世に於て成仏する時の仏名、天王如来。法華経提婆達多品(ぼん)の中にある。
- 屠力(とりき)
- 意味不明。提婆達多が五逆を働いた力をいったものか。
- いささか困苦になずむ。
- 少しの苦労に悩む
- 仏果(ぶっか)
- 仏道の修業によって得た仏の境地。
- 三熱の苦(さんねつ くる)しみ
- 畜生道で竜蛇が受ける3つの苦しみ。熱風に骨肉を焼かれること。悪風に居所や衣服を奪われること。金翅鳥(こんじちよう)に食われること。
- 恵命(えみょう)
- 知恵の法身を寿命にたとえた語。色身は食を以て命とし、法身は恵を以て命とす。
- 三聚戒(さんじゅかい)
- 三聚浄戒(さんじゅじょうかい)ともいう。大乗の菩薩のたもつべき3つの戒法。それは次のごときものである。
- @ 摂律儀戒(しょうりつぎかい)一切の諸悪を皆断じて捨て去ること。仏の制した戒めを守って、悪を防止すること。
- A 摂善法戒(しょぜんぼうかい)積極的に一切の諸善を実行すること。
- B 摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)一切の衆生を皆ことごとく摂取して、あまねく利益(りやく)を施すこと。慈悲心にもとづいて衆生のために尽くす一切の利他行のこと。
- 菩薩戒(ぼさつかい)
- 大乗戒・仏性戒ともいう。大乗の菩薩の受けたもつ戒。この戒は止悪・修善・利他の三面を包括的に持っているので、三聚戒ともいう。
- 天童の禅師(てんどう ぜんじ)
- 中国浙江省にある天童山景徳禅寺(現在は天童寺)の如浄(によじょう)禅師のこと。永平寺道元禅師の師。
- 結縁(けちえん)
- 仏道にはいる縁を結ぶこと。得道・成仏の因縁を結ぶこと。
- 領主の大名
- ここは小島(おじま)藩一万石の領地。藩主は代々丹後守を襲名することが多い。
- 万歳楽(まんざいらく)
- 目出度いときに舞う舞楽。
行翁居士の履の事
- 千手千眼の神呪(せんじゅせんげん しんじゅ)
- お経の名。普通、「大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)といい、略して大悲呪(だいひしゅう)という。(ナムカラタンノウ)で始まるお経。
- 東山清水寺縁起
- 元享釈書(げんこうしゃくしょ)という鎌倉時代末期、元享2年に臨済宗の僧、虎関師錬により著された仏教史書の中にあり。「行翁(ぎょうおう)履の事」解説の項参照。
- 衆生(しゅじょう)
- 生きとし生けるものをいい、今日では、すべての人間という意味に使われる。もともとの意味は、迷いの世界に生きる、すべての生類を指した言葉。
- 済度(さいど)
- 済は救う。度は渡す。衆生を苦界から救い、彼岸へ導くこと。
- 伽藍(がらん)
- 寺の建物。特に大きな寺院。
- 懈怠(けたい)
- 修業を怠ること。
- 往生(おうじょう)
- この世を去って極楽にいって生まれること。俗には、死ぬという意味に(みょうごう)仏や菩薩の名。
- 名字(みょうじ)
- 名号ともいう。名まえ、み名。主として仏、菩薩の名前。この名を聞いたり唱えたりすると、大きな功徳があるとされる。
- 妙感(みょうかん)
- 正しくは「冥感」と書く。知らない間に神仏が感応して、語利益を授けること。
- 邪鬼(じゃき)
- 崇りをなす神。
道伯和尚牛飼ひの事
- 見所(けんじょ)
- 見解、世界観のこと。仏教的世界観の立場。
- 活僧(かっそう)
- 立派な和尚のこと。活作略(かっさりゃく)のある僧。
- 如在(にょざい)
- 気を使わずいい加減にすること。如才(じょさい)と同じ。
- やもめ女
- 夫のいない女のこと。
- したため
- しかるべく処置する。この場合はいろいろ世話をする。
- 東雲(しののめ)
- 東の空がわずかに明るくなる頃。夜明け方。あけぼの。
- 随身(ずいしん)
- 主人につき従うこと。寺院に寄食して寺務などを手伝うこと。
- 定(じょう)
- 意識を一定の対象に集中させる事で体験される、宗教的精神状態
- 宗教的な瞑想状態の一種。
- 生得(しょうとく)
- 生まれつき持っていること。生まれながらにして身に備わっているもの。
- 器量(きりょう)
- ものの役に立つ才能、力量のこと。
- 江湖(ごうこ)
- 川と湖と、転じて広い山河、世の中という意味。江湖会(え)といって、広い世間から衆僧が集って修行する会(結制(けっせい))がある。
- 信施(しんぜ)
- 信者から三宝(仏・法・僧)にささげるお布施。
- 放逸無慚(ほういつむざん)
- 「放逸」は節度をわきまえず、勝手気ままに振る舞うこと。「無慚」は信者の布施を受けた僧が修行につとめず、いい加減な生活を送ること。
- 誓戒(せいかい)
- 正しくは(制戒)仏の定めた禁制・戒律。
- 恋慕しなづむ
- 恋慕して深く心を寄せること。
- なじむ(馴染む)
- なれて親しみを持つこと。
- 明鏡(めいきょう)
- くもりのない鏡。この場合は、ものが鏡にうつるようによく分かるということ。明々白々ということ。
- 一念五百生(いちねんごひゃくしょう)
- 恩怨・愛憎などの妄念は、一度心に浮かべただけで五百生に及ぶ輪廻(りんね)の原因となること。執着心の恐るべきことを説く言葉。
- 繋念無量劫(けねんむりょうこう)
- とらわれの念を生ずれば、無量劫─非常に長い時間─報いを受ける原因となること。「繋念」とは執着・執念のこと。
- 布薩(ふさつ)
- 毎月15日・30日に僧が集まり、自己の罪過を反省し、懺悔する儀式。
- 洒水(しゃすい)
- 密教で儀式を行う前に、道場や法具などに香水をかけ、煩悩や汚れを浄めること。
- 開経(かいきょう)
- 主要な経典の序説を為すお経。お経を読む前に読むお経。
- 尊勝陀羅尼(そんしょうだらに)
- 仏頂(ぶっちょう)尊勝の功徳を説いた陀羅尼八十七句からなり、これを唱えまたは書写すれば、悪を清め長寿・快楽を得、自他を極楽往生させる功徳があるという。
- 「尊勝仏頂」胎蔵界(たいぞうかい)マンダラの中にある仏の名前。
- 「陀羅尼」教えの精髄を凝縮させたお経。梵語音写のまま唱える。
- 永劫(えいごう)
- 極めて長い年月。
- 色相(しきそう)
- 肉眼で見られる形相、姿。
- 有東坂楞厳院(うとうさかりょうごんいん)
- 清水市今泉、曹洞宗、補陀山(ほださん)楞厳院。
- 蓮華峰(れんげほう)
- 昔密教の聖地によくつけられた名称。この場合は龍爪山中安音山道白平(あんのんざんどうはくだいら)のこと
- 桃林(とうりん)に牛を放す
- 周の武王が殷(いん)を征伐して帰った後、戦車を引かせた馬を、華山の南に帰し、荷車を引かせた牛は、桃林の野に放したという故事。
道白伝説と史実(解説)
- 注1
- 文化14年、駿府二加番として着任した。幕臣阿部正信(あべまさのぶ)の畢世の大著、駿河地誌である。49巻78冊からなる。完成までに25年を費やしている。貴重な史料として、末ながく尊重される郷土の名著である。
- 注2
- 磯貝正義、服部治則校注「改訂甲陽軍鑑」(新人物往来社)注315頁
- 柴辻俊6編「武田氏の研究」(吉川弘文館刊)[戦国大名武田氏の海賊衆」293頁
- 注3
- 武田信玄判物 定
為海賊之用所、自勢州可参之旨、申人所望之所一々合点、就中知行方不可有相違候、同意急速ニ渡海候様、可申遣者也、仍如件。
元亀(げんき)2辛未 11月20日 信玄(花押(かおう))
土屋豊前守殿 「小浜文書」(お茶の水図書館蔵)
- 注4
- 「楞厳院(りょうごんいん)書」土屋貞綱寺領寄進判物「静岡市史古代中世史料」600頁
- 注5
- 岡部郷 静岡県志太郡岡部町
- 注6
- 今川氏研究会編「駿河の今川氏第2集」(静岡谷島屋発行)
- 今川水軍考序説 長倉智恵雄11頁
- 注7
- 4、に同じ。
- 注8
- 駿河先方衆(せんぼうしゅう) 旧今川の家臣に多い。駿河にあって武田に臣従している武士。